マトリョーシカ 頭は鈍く 手足は重く 瞼や口を開く気力は いつの間にか形を失い 開いたと思えば また夢の続きで 何度起きたと思っても 瞼をとおして見えるだけ 気怠さは染み込むように全身を蝕み 覚醒を望んでいたはずの思考は どうでもよくなって 停止寸前でゆらゆらと 何度も何度も起きては気づき 気づいては目が覚め しかし天に帰ることはなく 開かれた瞬間に 内なる存在が確定する人形のごとく それは偽りの死と再生を映し出すだけ 放たれた矢は的に届かず ただ進み続け 動と静はいつしか曖昧になり その区別すら意味を失う 閉じた円環の中で その生温かな笑顔だけが ゆっくりと僕を溶かして いつまでも僕を溶かして