紫夢 世界が溶けてゆく 記憶は重く 意識は遠く 髄液は混濁し 黄赤色の宇宙が広がる 潰れた眼球は視神経を焼きながら逆流し 収縮した海馬は崩壊を続け 神経細胞はその繋がりを失う 孤立した想いは 細胞核へと退化した 紫の霧はその濃さを増し 次第に形を取り始める それはもう一つの脳 もう一つの世界