現実 果てしない彼方から近づいて 深遠から静かに浮かび来る その内に秘めたる性は 昇るほどに零れ落ち 変わらぬ無意味な真実だけが 水銀の花となって水面に浮かぶ それは残滓か結晶か 意味の有無を問いかけても それは木霊を返すだけ 知らぬ間にそこにいて 疑問に気づいて立ち止まる 乾ききった胸の内を 無慈悲な風が吹き抜けて 変わり続ける幻想だけが 砂塵の鳥となって空へと還る それは希望か絶望か 想いの形を見ようとしても 陽炎の響きが行く手を阻む 虚空に浮かぶ影の裏 白い空に赤い色 現という名の果実が一つ ポツンと一つ ただ一つ