「じゃあ、そろそろ行こうか」  黒ウサギの声に、ヒツジカイはハッと我に返りました。  目の前には、変わらず青い星が黒い海の中にぽつんと浮いています。 「……ああ、そうだね」  と言って、ヒツジカイはクレーターの縁に立ち、青い星を背にしました。  目の前には闇を湛えた巨大な穴が広がり、足下は垂直に落ちる崖でした。  音も光も無い闇の底を見下ろしながら、ヒツジカイは静かに息を吐き、 「行こう。終わりの旅の続きへ」  と言うと、黒ウサギとともに満天の星空の下、消えるように闇の中へと落ちていきました。        了